日常の風景になりたい

 ショッピングモールのフードコートで休憩していた時に、声が聞こえた。  話し声でも子どもの泣き声でもない、唸るような叫ぶような・・・もしや、と思い目をやる。予想通り。  保護者と思われる女性に後ろから抱えられた若い男性がファストフードの注文口でしきりに声を上げている。  去年の今頃までの私とKは、離れたところから見るとこんなふうだったのだろう。  ちょっと見ではあるが、声はやや高…

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プレ大掃除

 どうやらこの年末もKの施設の外泊許可は難しいようだ。それでも新年はやってくるし弟君は帰省してくるので少しずつ整理整頓、大掃除の真似事を始めた。  Kが在宅していた昨年まではその隙を見てちょこちょことやらねばならなかったが、今年は自分のペースで進められる。普段手を付けない戸棚や引き出し等の点検をしてとにかく断捨離、そして発見。  Kが帰宅した時に見せてあげようと残しておいたお気に入り…

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自立・親離れ・子離れ

 Kは春に入所してから一度も帰宅していない。地元の他の施設は少し前から制限付きの帰宅ができるようになったがKが住む施設は面会と差し入れのみ。  Kがいない初めての冬。寒いから、と鍋物を作ると「K君は白菜とホタテが好きだったね」とか。  ショッピングモールに行けば「このお店の前で必ずフライドポテトをねだられた」とか。  スーパーに行けば「K君がいないから買いだめていたふりかけが減らないな…

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ゴジラ –1.0

 ネタバレ情報を全力で回避しつつ公開後できるだけ早く映画館に行く。注目度の高い作品を鑑賞する時の必須の心得です。今回もまたしかり、「戦後間もない日本にゴジラが来襲」という基本設定と主な出演者の情報程度を得ていつものように平日朝イチ上映、高齢者割引で入場。  以下、ネタバレというほどではないけれどそれなりの感想です。  最近よく見るいきなり怪獣大暴れ、ではなくしっかりイントロがあったのでい…

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現場から・・映画「月」を見る その4

 「月」感想続き。多分これが最後。  作品に対する感想の中に重度障害者の入所施設で働いている、働いたことがある、という人のものもぽつぽつとあった。その中には程度の差こそあれ不快を表明しているものが少なくない。実際にやまゆり園で働いていた、という人はかなり怒りをあらわにしていた。その文章からは現場を知るからこそ感じる無念のようなものがひしひしと伝わってきた。あえてリンクは貼りません。以下、そ…

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存在すること・・映画「月」を見る その3 

 映画「月」感想、続き。  他にも感想文には「きれいごと」とか「偽善」とかの言葉がよく使われており、それらに批判的だった。  でも、私達はそのきれいごとや偽善に救われていることが多い。たとえ心の底では見たくない・関わりたくないと思っていても、それらをあからさまにしたら人としてどうか、と思われてしまうから。救いの手を差し伸べる、理解していると表明して善意を見せ、自分は良識があるとアピールし…

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映画「月」を観る その2

 公開から二週間余。一般人から著名人まで、ネット上にあるこの映画の感想を読み漁った。だいたい「衝撃」「問題作」「素晴らしい」、そして「ぜひ観るべき」。  コミュニケーションすら困難な障害者、その人達と向き合う難しさ、覚悟。明るいテレビ番組で努力している様子を見せることができる「障害者」の姿の方を見慣れていれば確かに衝撃だ。直視するのは厳しいかもしれない。  でも、そういうのを普段からあえ…

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やまゆり園事件・・・映画「月」を見る

 あの「やまゆり園」における相模原障害者施設殺傷事件をモチーフにした小説が映画化されたと聞き、見に行った。「月」という作品だ。  現在は被告となっている「実行者」役は磯村勇斗氏。本当の障害者も出演しているが虐待行為をされる人は役者さんが演じており、他の出演者も皆実力・演技派の方ばかり。上映時間も長かったが中だるみもなく見ごたえがありました。映画としては。  感想、といっても何からどう書け…

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人生の晩秋・・イベントやら秋冬コーデやら

 11月末のツブコンに向けてイベントチケットや宿泊先予約、タイムテーブル確認等ぼちぼちと準備しているが・・・趣味のためにコツコツ貯めているお小遣い貯金があれよあれよと飛んでいく。  前回(4年前)はKも在宅だったので日帰りだったが今回は2日間とも行ける。前回よりニュージェネやアニメ関連イベントが多いがそちらはお若い方に枠をお譲りし、古参向けのものを狙ってチケット購入参戦。希望するものはとり…

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まだまだ油断大敵

 少し前に義母の法事が行われ、簡素に近しい身内だけで集まった。入所してまだ外出ができないKは言うまでもないが、弟君も欠席した。  弟君の職場でコロナ感染者が増えており、割と近い部署でもお休みする人がでているとのこと。本人はピンピンしているが万が一・・・ということも絶対ないとはいえない。  超高齢(90代)で最近体力も落ち車椅子で移動している義父(おじいちゃん)と会食するのは不安とのことで…

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