「またこの季節がきたな」
花粉ではない。春の訪れという、Kのような人達にとっての大変化だ。
春先は普通の人でもなんとなく気持ちが浮いたり沈んだりざわついたり・・・という感覚が多少ある。そんな感覚が多分ダイレクトに伝わるのだろう、毎年この時期になるとKは落ち込む。
通所施設の職員さんや他の利用者の親御さんも同じようなことを言う。利用者が、我が子がやや情緒不安定になってくると「あ、春が近いんだな」とわかる。
春の訪れ。できることならもう少し穏やかに、平和に、詩的に感じ取りたい。
今年は寒いかと思えば急に春の陽気になったりして、そのダイナミックな変化についていけないK達のダメージはかなり大きい。アロマオイルやらマッサージやら、なんとか気持ちを落ち着けてもらおうとあれこれ試したりするが、いまひとつ。
振り回されるこちらもたまったものではない。しかし、多分K本人も辛いのだろうな、と思ってため息をつく。毎年毎年、同じように迎える春。
ただ、今年はちょっと発見があった。
スカパーの音楽チャンネルを録画してたまたま流していた「米津玄師PV特集」の「海の幽霊」の動画。これが流れ始めた時にふと画面に向いたKの視線がそのまま動かなくなったのだ。
それまで険しい顔で室内を歩き回っていたのに、じっと立ち止まって画面を見つめている。
私もこのPVは家事の手を止めてふと見入ってしまうことがある。心が奪われる、というのはこういうことかな、と思ったものだ。じっと画面を見つめている、聴いているKの姿を見て、なんだか少しほっとしています。
例年通りならば、本格的な春が訪れる頃には周囲の方が対応に慣れてくる。落ち着くのはその後かな。やれやれ、と。
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