覚醒、そして新たな戦い

 生活介護通所者のKもたまには作業に参加する。収入を得る、というより放っておけばボーッとした時間だけが過ぎていきがちな日常にメリハリをつけるのが目的だ。手先を使うことで脳の活性化もなるのでは?・・・などと今更な期待もある。
 本人のやる気と職員さんに余裕がある時にお願いします、と伝えてあるのだが、最近ちょっとした変化が起こっている。

 「このところ、以前より作業に集中しています。新しい手順もすぐに覚えてくれました。」

 なんとなくわかる気がした。ここで書いた最近のKの様子を見ていれば素直に信じられる。

 ● 洗濯物を干していたら、脇からハンガーを取って物干ざおに掛けた
 ● 食事の後、自分の箸を所定の場所に片付けた
 ● メモを書いていたら、傍でペンを持った私の手に自分の手を添えて紙にグルグルと丸を書いた


 画期的だ。革命だ。
Kがついに覚醒したぞ!俺たちの戦いはこれからだ!

 ・・・・じゃなくて。
 「どこが?」と思われても仕方ないような些細なことだが、教えてもKはこんなことすらやろうとしなかった。とにかく、「自発的に意味がありそうな行動を始めた」ことが革命的なのだ。

 まあ、ハンガーに洗濯物はかかっていないし箸は洗っていないし書いた丸は紙からはみ出しそうだったけどね。自発的な行為はやってほしくないいたずらにも発展しがちで以前より目が離せない。それを少しずつ身辺自立につなげていく、それが「俺たちの戦い」であるなら確かに「これから」だわな。

 Kの毎月の作業工賃はずっと「自販機のジュースが1本買えるくらい」だったが、先月は「コンビニでお弁当が買えるくらい」になりました。戦いは始まったばかりです。

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