昔のバラエティ番組でよく見たゲーム。
円形の線路におもちゃの電車を走らせ、その途中に風船を置く。電車の先端には針がついている。プレイヤーにはパズルや積み木等の課題が課せられ、電車が風船に近付いたら作業の手を止めて駆け付けて風船を持ち上げる。電車が通過したら元に戻して作業再開、また近付いたら・・・の繰り返し。課題が終われば勝ち、風船が割れたら負け。
「私達、ずっとそんな生活してるよね。24時間体制で」
重度知的障害の子を持つ親はだいたい頷く。
いつ何時、何をするかわからない子を育て、一緒に暮らす。制限されることは山ほどある。乳幼児の頃は健常でもそんな感じだと思うが、それが何十年も続いている。「自分の時間が持てない」という子育ての悩みをよく聞くけれど、自分の時間はおろかやらなければいけない家事や仕事をする時間の確保も難しい。
学校や施設に行っている間があるじゃない、と思われるかもしれない。前にも書いたけれど、その間はとにかく全力で家事や必須の用事を片付けねばならない。夕食の下拵えも午後4時までには済ませ、Kが帰宅した後に何があってもいいようにすべてを終えることが最優先。
帰宅したらしたで、安定している状態は長続きしない。いきなり不安定になったり失禁したりおもちゃを壊してパニックになったり(自分で無理な力を加えて壊す)。そんなこんなで、Kと一緒にいる時に私が何かに集中できる時間は10~15分。
以前はそれでも時々まとまった時間ができて、室内を汚さないよう準備してからプラモの塗装をし、Kが帰宅する時刻までに後片付けして汚れたところを処理して換気して・・・ということもできた。泊りがけでイベントにも行けた。しかしコロナ禍でショートステイや夫がKを連れ出す宿泊旅行もできなくなり、「何かに集中できるまとまった時間」は夢のまた夢。もう無理かな、それほど執着なくなったし、ということでエアブラシや工具も処分しました。
10~15分の隙間にできる息抜きといえば読書とか録画した映画の鑑賞とかスマホいじりとか。そんな生活にどっぷり浸かっていると、身も心も悪い意味でドロドロに溶けていくような気がしていた。
これではいかん、と最近ようやく思い始めたわけで。続きは次回に。
この記事へのコメント
みま
こんなことばかりで泣けてきて、このはりさけそうな気持ちをなんとかしなければ…と、tomokoさんの最新記事で落ち着かせてもらいました…そうだ!さっき読んだあの記事読めば落ち着きそうだ!と深夜にスマホいじっています…
ありがとうございます…
tomoko
同じような経験がありすぎて、その時の情けないようなやるせないような、もうこんなの嫌だ、みたいな気持ちが痛いほどわかって泣けてきました。
こんなのが日常茶飯事な生活ってなんなの、ありえない、とか思っちゃいますよね。それでも、なぜかもうダメかな、って思ったタイミングでたまにぐっすり眠れたりいい子でいられた日があるんですよ。これはズルいですよね。
でもそんな感じで今なんとか生活している、という現実を淡々と受け止めることができるようにやっとなってきました。
温かいお茶とか美味しいお菓子とか、少しの時間と手間で心休めてくれるものに助けられながら過ごしましょう。私は豆大福とコーヒーですが。
みま
このズルさのおかげで生きながらえてる我々です…
一緒に泣いてくれた
と聞いただけでなんでしょう、この、さーーっ
と気持ちの波がおだやかになる感覚…
人ってメンタルからできているなぁ…
私はケーキとチューハイです(笑)
tomoko
みま様
ズルいです(笑)。そうとしか言いようがない。
よく「頑張っていれば将来いいことがある」と言われるけれど、もう頑張りようがないなと思えたらその隙間にあるちょっとしたいいことで無理やりにでも癒されるしかないですよ。
ケーキとチューハイ、素晴らしい取り合わせですね。同時に、ではないかもしれませんが。甘い物はいいですよね。