障害者手帳持つ人の「貸出サービス」投稿が波紋 厚労省「制度の趣旨に反している」も...「制限難しい」理由
すごいことを考える人もいるものだ。詳細はリンク先で。
要するに、「障害者手帳を持つ自分と一緒に美術館や博物館に行き、介助者が受けられる割引を利用しませんか」ということらしい。そんな「レンタル障害者手帳持ち」というサービス(?)を始めた人がいるという。
なんてことしてくれるんじゃ、こんなの商売にされたらまた障害福祉界隈に妙な矛先が向けられるじゃないか、と一瞬腹が立った。しかし、詳しく見るとなんだかよくわからない、というかそういう方向から非難する事例とは違うような感じなのだ。うまく説明できないが
まずその「サービス」内容をよく見ると、手帳を持つ障害者と同行する利用者双方の利益、というかお得感がよくわからない。
●利用者は障害者の交通費や飲食費を支払う、というが高くても数千円の各種入場料の割引額がそれに見合うのか。
●あくまで「介助者」としての割引なので、もしも障害者本人に何か異変があった時の対応はできるのか。そこは責任問題も関わってくるし、これは障害者側のデメリットでもある。
これを始めた方の手帳は精神障害のもの、とのことなので身体障害や知的障害・自閉系の支援の知識を心配することもないのだろう。それでも事故・災害等何かしらの緊急事態はあるかもしれない。身内や慣れた介護関係者ではない、ほぼ初対面の人に「介助」されることに不安はないのか。
知れば知るほど、「サービス事業者と顧客」の関係ではない。
単に介助者募集、ではいけないのか。福祉事業者と契約する、ではいけないのか。
多分いけないのだろう。いや、いけないかどうかではなく「こういうの思い付いちゃいました!」くらいの感覚なのかもしれない。普通の募集やら契約やらをするくらいならいらないよ、みたいな。知らんけど(笑)。
この方の場合、単に「誰か、一緒に出掛けない?」とSNSで広く呼びかける方便だったのかな。実際に手を挙げた依頼者と外出する様子も平和そうでなにより。依頼者の側も損得ではなく興味が湧いたので申し込んだ、という感じ。発想の転換でさまざまな経験をする、ということならば成功している。
ただ、障害者とか福祉とかの問題は当事者や関わる人それぞれが様々な立場・意識・感情・悩み等を抱えている。私が最初に腹立たしく思ったのも、自分の子が身内やヘルパーさん以外では難しい介助を必要とするからだ。「介助者」の立場を軽く扱われたような気がした。
また、こういう「発想の転換」を更に捻って解釈し、不当な利益を得ようとする人が後から現れるかもしれない。あの「夢の国」のサービスが縮小されたのも、その濫用ケースが目立ったせいだと聞く。
同様に、これがきっかけになってこの福祉のサービスが廃止・削除されれば、本当に必要な人達が困ることになる。立場によってその大きさは違っても、福祉の恩恵を受けていることの自覚ってある程度必要だと思います。なにもかも与えられて当然、ではない。
まあこの件の場合ご本人は充実しているようだし、何かと無理に戦っている様子もない。いろいろな人がいるのだな、ということはわかりました。
この記事へのコメント