前回の続き。
「措置から契約」になり事業所は利用の希望を断ることもできる。入所施設やグループホームの利用を断られる理由で多いのは「脱走癖」と「強度行動障害」と聞いた。重度知的障害者の脱走や無断外出は命の危険に繋がるし、責任の所在をめぐって訴訟もおこっている。
最近テレビのドキュメンタリー番組でもよく強度行動障害が取り上げられている。自傷、他害、破壊、パニック。母親ひとりではもちろん、男性が二人がかりでやっと制止するパニックがどのタイミングで起こるのかわからない。
Kも初めてのショートステイの時、自傷でかなり暴れた。
(参考記事施設に宿泊体験・・・その顛末)
強度行動障害を持つの子の保護者がよく言うこと、「こんな子、預かってくれるところなんかない」。
私もこの頃はそうとしか思えなかった。実際上記の記事で利用した施設からは「この状態でのお預かりは難しいです」と言われたし。
冗談でも誇張でもなく、常に自分の頭や顔を殴る自傷で血まみれ。かさぶたはすぐに自分ではがすから乾かない、痣やコブは消えない。学校の先生や放課後デイサービスの支援員さんは事情や様子をわかっていてくれたけれど、知らない人が見れば虐待が疑われただろう。
とにかく常に泣いているか自傷している。グループホームはおろか入所だって無理、きっと親である自分達が倒れるまで今の生活が続くのだろう。一時は本気でそう思っていて、そんな思春期の何年かはまさに「出口なし」の状況だった。このへんの対策や経過についてはこのブログのK中高生時代(2006年頃から数年間)の記事にいろいろ書きました。
身辺自立も不完全、そんな最重度に一人暮らしやグループホーム生活をさせてくれる事業所は地元にない。
親もいつかは倒れる、それまでに離れて生活できるようにしなければ。
ならば入所施設。でも、今の状態で受け入れてもらうのは難しい。
このあたりの考えがぐるぐる回るだけで時は過ぎていく。タイムリミットは必ず訪れる。
そんな澱みに沈んでいる親が現在20,000人以上いるというのが前回リンクを張った記事だ。
入所施設の運営は多額の公金が必要ということだし、ただ数を増やせばいいということでもないだろう。
専門的な研修を受けて知識や技能を得たスタッフを好待遇で迎え、入所でなくともショートステイや通所で「タイムリミット」を延ばす、もしくはその間の苦しみを緩和することはできないものか。
結局は人手不足・人材不足ということになる。
福祉分野に限らず、きつい、でも必要な仕事をしている人が相応の報酬を受け取れる社会になってほしいです。
また後日、施設と自由、とか現在待機している人・ためらっている人に聞いた話を書いてみます。
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