桜の季節を逃してしまったのは残念だったが、Kの外出許可を申請して外に連れ出した。
迎えに行くと変わらぬ表情でスタスタと出てくる。お出かけの時は職員さんがちょっとおしゃれな服を選んで着せてくれており、一応家に残してある服も用意していくのだがほとんど必要ない。
その他に家から持参するのは、万が一トイレの失敗をしたり食べこぼしたりした時に備えた着替えやタオル、ウェットティッシュ等。在宅の頃のお出かけと同じだ。
今回のお出かけは広い公園の散歩と日帰り温泉。
Kは公園の歩道を気持ちよさそうに歩き、時々小走りになって落ちている葉っぱなどを拾う。ああ、毎日のように一緒に歩いた頃と変わっていない。
ぽかぽか天気の日だったのでたくさんの親子連れがボールやバドミントン、縄跳び等を持参して遊んでいる。シートを敷いておやつを食べていたり水遊び場で歓声を上げていたり。幼い子と過ごす休日は大切で、工夫が必要だ。
二十数年前の自分達と同じだ。着替えやタオル、おやつに水筒、幼児の外遊びは大荷物。Kのために必要な特殊装備もある。
広々としたスペースにたくさんの遊具。こんな魅力的な場所なら昔の弟君は目をキラキラさせて私達の手を引くに違いない。私はKについて残り、夫は弟君と公園内を駆け回って遊具に付き合う。疲れたら休憩し、皆でジュースやおにぎり、サンドイッチをほおばる。
本当につい最近のことのようだ。しばらくの間、つい目の前の親子達に見入ってしまった。
Kはゆっくりと、時々小走りに、微笑みながら歩道を進む。落ち着いた様子だ。もう大人だものね。
公園の後は日帰り温泉。在宅の頃はよくKを連れて行きいつも楽しそうに入浴していたが入所後は初めてだ。つまり2年ぶり。有り難いことに男湯で介助するのは夫。私はひとりでのんびりお湯に浸かることができる。申し訳ないです。
入浴後に「久し振りで大変だったでしょう」と尋ねると、夫は「いやいや、久し振りだから楽しかったよ。」と答えた。Kは多種多様な風呂に気持ちよさそうに浸かり、周囲の迷惑になる行為もなくご機嫌だったという。
帰りの車中も表情よく、「楽しかったね」と話しかけると笑ってくれた。
夕方、施設に戻った時も降車を躊躇することなく、職員さんに促されると「さようなら」の身振りさえ見せてくれた。入所して間もない頃とは違う。彼はもう施設の方を「自宅」と意識しているのかもしれない。
夫はもう次回の外出の計画を練っている。「子育ての頃」を再体験し、Kに施設の外の刺激を与え、皆で「楽しかったね」と振り返れる一日は尊い。
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