「リエゾン」完結・・親亡き後と子の居場所

 児童精神科の医師を主役としてドラマ化もされ、ここでも紹介したことがある漫画「リエゾン ーこどものこころの診療所ー」が完結した。

 ※参考過去記事
   児童精神科・・・「リエゾン」を読む(2022.3.25)
   カミングアウト・・・「リエゾン」をさらに読む(2022.3.30)

 ラスト2冊(20巻、21巻)は重度知的障害児者の家族にはかなり深く刺さる内容だった。感動とかきれいごとではすまされない現実を、可能な範囲でかなりしっかり突き付けてくれている。
 「本人の居場所」と「親亡き後」、いや「親がいなくなる準備」か。

 さまざまな問題行動のため居場所が限られてしまう息子、病を得て、その子を残し自分が先に逝かねばならないと知った母その設定だけでもう心臓が鷲掴みにされた感じだ。

 ひとり親である母は、息子の安住の場を探す。
 差別はいけない、共生が理想、といってもいざ近隣に障害者のグループホーム建設計画があると反対運動がおこる。「多様性とか共生とか・・・自分の生活に無関係だから言える言葉かもしれなくて」という施設運営者の言葉はよくわかる。親は、身近にいたら大変なことはたくさんある、と知っているから受け入れてもらって当然とは思えないし強く主張するのも躊躇われる。

 問題行動によって我が子が行ける場所や楽しみが狭められていく現実の中、この母は言う。
 「障害児の親にとって子どもに好きなことがある、ってことは希望。ちゃんと意思があって生きていることだから」
 よくわかる。あらゆることに反応が薄かったKがアンパンマンやEテレの番組に反応してくれた時、この子も自分で好きなものを選べるんだ、と感動したものだ。

 周囲の人々(医師や福祉事業関係者)がだいたい「いい人」で、母と子に少しずつ道を開いてくれるのはうまくいきすぎかもしれないがそうでなければ読み手としても救われない。こういう道がある、だから諦めないで、と伝えてくれる物語だから。

 20巻で佐山先生が語る知的障害と発達障害の「困り方」の違い、それらの捉え方、医療と福祉で考える「居場所」。最終巻(21巻)で、自らの死期を悟った母の、人生の振り返り。胸にしみて、しばらく呆然としていました。
 興味があれば読んでみてください。重度知的障害児者の親には、これでもかというくらい刺さりまくります。

リエゾン -こどものこころ診療所ー(20) (モーニング KC) [ ヨンチャン ] - 楽天ブックス
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